朝が来るまでもう一度
あなたの鼓動に重なって
星かごにとじこめて

まだ夜は深く、星空は静寂の紺。
隣で眠るお兄ちゃんの腕に抱かれ、私はこの心地よい呪縛から逃れることができない。
寝息は何度も私の前髪にキスをする。
乱暴な脚は夏掛けを蹴飛ばし、クーラーの風が直接素肌をなめていった。
筋肉ののった胸板は汗ばんで、私の頬の熱を奪っていく。
鎖骨の下のくぼみに唇を寄せると、小さな薔薇がほころんだ。
こんなに儚い愛の証はきっとすぐに消えてしまう。
わかっていても、あなたを好きでいることをやめられない。
「ヒカリ」
ほとんど音もなくかすれた空気が私の耳をくすぐっていく。
「好きだよ」
寝言のような呪文を合図に、唇は重なり合った。
お兄ちゃんの右手が私の胸の膨らみを下からぴったり包み込む。
唇は首から滑り降りて膨らみの裾野にたどり着き、雪原に椿が落ちた。
「おそろいだね」
あなたの愛しい痕跡が自分のからだに残っている。
たまらなくなって頬にキスをしたら、まぶたとおでこに返された。
「さっきね、夢にお兄ちゃんが出てきたの」
花びらが風に遊ばれるくらいにゆっくりと、背中から腰にかけて指がすべっていく。
「夢ってね、自分のことを想ってる相手が出てくるんだって」
素肌どうしはぴったりくっついて、ふたりの間に生まれた熱が指先をとかしてしまう。
「俺の夢にもヒカリがでてきた」
「そうなの?なにしてた?」
瞳は一瞬月あかりをとらえ、ふたたびベッドに沈んだ。
「忘れた」
「もう」
星空の視線をさえぎるように、裸の胸板が覆い被さってきた。
ぼんやり暗い輪郭がふたつ重なって、ベッドのスプリングが大きく軋んだ。
「もう一回眠るか?」
「夢でまた逢えるかな」
もっと、息ができないくらいに、夢みたいなことをして。

ひばりが鳴けば夜が明けてしまう。
今日と明日のはざまに私たちを残して。

胸の痛みをほどいて
灼けるように熱いの
恋する夏が嫉妬する
君の背中は砂まみれ

嵐のような太陽が水着のあとをさらってしまった

「おにいちゃん、まだ怒ってるの?」
「別に怒ってねえよ」
さっきから、お兄ちゃんはすこぶる不機嫌だ。
夕陽でオレンジ色の海辺を、さくさく歩いていく。
あたしは慣れないビーチサンダルで、数歩後ろをついて歩く。
ビキニの胸元のリボンがさみしく揺れる。
いつもなら隣で歩幅を合わせてくれるのに。
自分のせいだから、なにも言えない。

「お兄ちゃん、かっこわるい」
昼間、みんなでわいわいしてるとき、ぽろっと出た言葉。
たぶんこれを気にしているのだ。
怒ってないとか言って教えてくれないけど。
そりゃあ、かっこわるいなんて言われて嬉しいわけないけど、でもこんな数時間たってもまだ気にしてるなんて。
他のみんなといるときは、いつもの明るいお兄ちゃん。
でもあたしには、他の人にはわからないくらいに、ほんのちょっと避けていた。
目があったらいつもにかって笑ってくれるのに、合う前にそらされちゃった。
そんなに怒ってるのかしら。
なんの気なしに言ったひとことが、こんなことになるなんて。
考えを巡らせながらついて行くと、お兄ちゃんは岩陰に消えた。
ぱたぱたとサンダルをならして岩場をのぞくと、右腕にぐんと衝撃。
次の瞬間には、あたしはお兄ちゃんの胸にぽすんとおさまっていた。
下は水着、上はラッシュガードだけ、しかもチャックはあいている。
つまり、お兄ちゃんの焼けた素肌に直接からだがくっついている。
何かを考える前に、くちびるを塞がれた。
お兄ちゃんの吐いた息が、口のなかからからだ中を巡っていく。
下くちびると歯の間に舌が入ってきて、その異物感に、乙女の純情は蹴散らされる。
こたえるようにあたしも舌を出した。
舌先でキスをして、上下に絡み合い、粘膜を交換する。
どちらかがくちびるを離そうとすると、もう一方が追いかける。
めいいっぱいキスをして、もうとろとろに溶けてしまったところで、お兄ちゃんはあたしの耳もとに、きいたこともないようなバリトンを響かせた。
「兄ちゃん、かっこわるいか?」
その言葉だけで、真っ赤な果実が熟してしまう。
「お兄ちゃん、かっこいい、よ」
「よくできました」
頬に、まぶたに、首筋に、くちびるを押していく。
ふれたところから染み出すからだの奥のリビドー。
「ごほうびだ」
左手は腰を抱え、水着のスカートの間に親指が挟まれた。
右手はホルターネックをいとも簡単にはずし、その下の、くっきりちがう色をした肌があらわになる。
日焼け止めを塗っていても、こんなに焼けてしまうのね。

今日1日でできた水着の日焼けあと。
肩ひも分の白い肌も、夕暮れの熱い太陽が、全部焼いてしまうわ。

「ヒカリ、真っ赤だぞ」
「太陽が、こんなに近くで燃えているんだもの」

砂まみれのキス、砂まみれのからだ。
このまま熱さに溺れてしまおう。
片方脱げたビーチサンダルもそのままに、あたしは素肌で夏を抱きしめた。

センチメンタルな春情に、あたしは毎日翻弄されている。
くちづけのかわりに、吐息が風になって前髪をめくる。
愛の言葉のかわりに、目の前にお砂糖とミルクがたっぷりの甘いココアを差し出される。
「ヒカリ。」
蕩けるようにあたしを呼ぶ、その声だけで、脳がしびれてしまう。
神様はなぜ、あたしをこんなからだにつくったのかしら。
それとも、お兄ちゃんが、あたしをこんなからだにしてしまったのかしら。

たとえば、セーラー服の襟が折れているのを直してくれたり。
その直した部分をあたたかく撫でられたり。
たとえば、はずれたシャツのボタンをとめてくれたり。
慈愛に満ちたまなざしで包み込まれたり。
たとえば、夏の日差しのような笑顔がまぶしかったり。
たったそれだけのことで。
直接肌に触れられてもいないのに、あたしのこころの一番奥の、敏感でやわらかいところがピンポイントに刺激されている。
ふたりきりのときにする優しいお兄ちゃんみたいな態度は、ベッドで肉食獣のような瞳に貫かれるよりももっと、あたしを沼に導いていく。
あたしの女の心臓はどくどくと脈打ち、歩くことすらままならない。
触れることは愛情を示すひとつの手段だけど、 触れないという意志もまた、深い愛情の表れだ。
少なくとも、あたしたちにとっては。
ぎゅうぎゅうにしぼられた濃密な想いに溺れてしまいそう。
夜になったら花園のそばの泉にゆっくりと腰をおろして休みましょう。
あたしいいこで待ってるから。

2020/2/16 東京ビッグサイトTOKYO FES Feb.2020 DIGIコレ10に参加します!

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武蔵野エロティックキャバレー傑作選
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2019/9/15 東京ビッグサイト GOOD COMIC CITY 26 DIGIコレ9 に参加します!
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1枚1枚紙を燃やして作った1点ものです。
本物の灰が入っておりますので開封の際はご注意ください。

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「なんで怒ってるの」
「別に、怒ってない」
「来年からはもうお返しはしないから」
満面の笑みをその端正な顔に貼り付け、私の隣に座った。
ソファのスプリングが低く唸る。
今日一日中タケル君が学校で配りまくっていた小袋を指先でぱちんと撥ねると、それはあっけなく転がった。
カラフルなキャンディが入った透明な袋は、赤いタイと造花で口を結ばれている。
おしゃれでかわいい、いかにもな義理お返しだ。
お返しそれ自体は何の問題もない。私が口を出すべきことじゃない。
けれどラッピングに使われている小さなアネモネは、大きく私の心を乱すのだった。
きっとタケル君は気づいてもいないだろう。
気をきかせたお返しが、気を持たせるようなものになってしまっているだなんて。
そこについている花がどういう意味を持つかなんて。
価格と数と見た目が手頃だっただけで、そこまで考えていないはず。
だけどそれを受け取る女の子たちは、ほんの少しの期待を膨らませるかもしれない。
高石くん私のこと好きなのかな、なんて思うかもしれない。
タケル君に恋をしている女の子が周りにたくさんいる状況なんて昔から慣れっこだ。
中学の卒業式なんて告白待ちの列ができたくらい。
それでも、タケル君が別の誰かを好きかもしれないなんて、そんな風に思われるのは、正直面白くない。
もちろん他人の考えることを制限するなんて無理な話だ。
片思いであればなおさら、好きな人が自分を好きかもしれないなんて甘い夢を見る。
私だってタケル君と恋人になる前は、タケル君の言動にいちいち期待したり落ち込んだりしていた。
なのに自分が恋人というポジションにおさまった途端、他の女の子たちが同じように一喜一憂しているかと思うと胸の奥がひりひりと焼け焦げてゆく。
なんて傲慢な考え方。
狭量な自分が心底嫌になる。
そう、結局のところこれはつまり。
「ただのやつあたりよ」
「そのやつあたりの原因をきいてるんだけどな」
私の右手をとり、指をきゅっとからめてきた。
カーテンから夕陽がもれて、金糸の髪にきらきらと反射する。
「今度調べてみたら?アネモネの花言葉」
「花言葉?」
「赤ね」
サファイア色の瞳を大きく見開いて、でもすぐにいつもの笑顔に戻った。
私が怒ってると思ってるからか、彼は今日、異様なほど私に気を遣っている。
にこにこ笑顔を崩さず、スキンシップが多めで、とびきり優しい。
ともすればいつも通りにみえるその行動からは、いささかの緊張感が伝わってくる。
不器用な人。
タケル君に怒っているわけじゃないし、ただの自己嫌悪なだけなんだけど、こうしてタケル君が私のご機嫌をとろうとしているのには申し訳なくなってくる。
そんなことしなくていいのよ。
私は右手をぎゅっと握り返す。
タケル君も、さらに指に力をこめる。
互いの顔を見合わせると、笑みがこぼれた。
それは汎用的な笑顔じゃない、タケル君がいつも私だけに見せてくれる顔。
「花言葉って、勝手に作っていいんだってね」
彼はローテーブルにちらりと目をやる。
「そうなの?」
「うん、特にきまりはないみたいだよ」
細身のガラスベースにしとやかにたたずむ一輪の赤い花。
花弁をくるりとそらしたかわいらしい姿に、春が漂ってくる。
「これの花言葉はね、」
タケル君は私の耳元にくちびるを寄せた。
「それ、花言葉っていうのかしら」
ふふふと笑って目を閉じる。
彼は私の頬に指を滑らせる。
やわらかな愛が、花びらを揺らした。

 

#タケヒカ版深夜の真剣お絵かき文字書き60分一本勝負
2016/2/5 「花言葉」

2/24 HARU COMIC CITY 24 DIGIコレ8に参加します!
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とらいを全て観て思ったことは、自分の作劇に対する好みがかなりしっかり把握できたというところだろうか。
とにかくとらいは好きじゃなかった。
過去の名作がとかキャラ崩壊がとかじゃない。
もう演出が全く全然好きじゃない。
展開やキャラ、台詞、その他諸々についてはだいたいみなさんと同じようなところで同じような違和感を感じてましたので、無印と02を100回見返してくれとだけ。
6章まで観てもぶんなげられたままの出来事がこんなにあるとは思わなかったよ。

とらいを観ていると予想通りな展開が何度も出てくる。
どうせこう言うんだろう、このタイミングでこの音楽が流れるんだろう、こいつが出てきてこうなるんだろう、みたいな、観ながら思ったことがそのまま画面に出てきて嘘だろと。
めいちゃんのパスワードのくだりとか、劇場にいた観客全員が「ハイハイだんだんね」って思ったでしょ。
あの海のシーン、このあと太一さんが出てきてButter-fly流れるんでしょって思ったでしょ。
西島は太一さんをポッドに乗せて死ぬんだろって思ったでしょ。
そういうのが何回も続くのは観ていて疲れるし驚きも感動も何もない。
無。
素人が脳直で考えられる程度のものがプロの作った映画として公開されてるってとんでもねえ地獄だな
ストーリーを進めるうえで必要な展開ってあるけど、それをいかにご都合っぽくみせないかってとこが大事なわけで。
というか演出とかキャラクターとかしっかりしてればご都合っぽくは見えないんだよ。
それを隠そうとしないで突然「どーもご都合です」ってやってくるから驚きます。
女児向けなんかを観ているとありきたりな台詞やテンプレ展開がすごく響くことはよくある。
でもとらいはテンプレが響く作り方をしてないから、ただありきたりなだけになってしまっている。
演劇部の大会でキャラメルボックスの脚本使ってんのに地区落ちするへたくそ弱小校かよ

劇伴の使い方もなんか下手で、あまりに曲自体の力に頼りすぎている。
Butter-flyとかbrave heartとか、名曲なのはわかるんだけど、名曲を使ってブーストさせようとしてるのが見て取れる。
Butter-fly流しとけば満足するって思われてんだろうな。
曲に対してシーンが負けているので、劇伴としての効果が薄れているというか。
感動っぽいBGMをでかい音で流して感動的なシーンに仕上げました的な安易さ。
あとSEも雑だったなあ。
パタモンが飛んでるぽよぽよSEとか要る?このシリアスなシーンでいる?
わざと時計の針の音を流して静寂を表現するという手法もあるけど絶対そういう意図じゃない。
砲撃の音とかもただただでかいだけで迫力もあんまないし、発射と着弾の音がすげえ気になった。
ガルパンて本当に音にこだわってたんだなあ。
リズも、一瞬の心のゆがみを音で表すためにマイクの前にわざと人を通らせたとか様々な音作りに関する解説があったし。
音にこだわりがあるタイプの監督じゃなかったんだろうな。
挿入歌の新曲くらいあってもよかったのでは。
ああでもこの監督、歌や音楽で表現しようとか思ってなさそう。
じゃあ何で表現しようと思っていたんだろう。
戦闘シーン?人間模様?
モンの作画はすごかったけど、人とあまりに違いすぎていかんせん人のシーンの印象が薄すぎる。
話がよければ作画は気にならないのに。
とはいえ、話がいい作品てだいたい作画もめっちゃいいよなと最近の様々なアニメ映画を観て思う。

何度も言っているけど、とらいは台詞だけで芝居しすぎ。
演出で表せるところも全部台詞。
例えば空さんがお母さんみたいって思わせたいなら空さんの行動で示すべきであって「空さんてお母さんみたい」みたいな台詞は極力避けるべきなんだよ。
大事な言葉は言っちゃだめなんだよ。
とらいで大事な言葉を言いすぎて価値が半減しているのはもののひとつは「仲間」ですよね。
ことあるごとに俺たちは仲間だ的な発言が多い割には全然仲間らしい行動がない。
高石が顕著だったんだけど、おめこちゃんは仲間だから的なことを連呼しながら「仲間に入れてあげようとするムーブメント」するじゃないですか。
話したり輪に入るきっかけをつくってあげたりしているという行動そのものが「本当は仲間だと思っていない」ことを明らかにしている。
本当に仲間だと思っているなら「仲間に入れてあげようと気を遣う」ことはしないでしょう。
そういう違和感をぬぐえないままに台詞だけでどんどんストーリーが進んでいく。
圧倒的に「間」の演出が少ない。
というよりも、台詞で感情を全部言っちゃうから、間が効果的な演出にならない。
これ、間なのか?と思った無音で静止画みたいな放送事故ぎりぎりのシーン何回かあるんだが、あれは間ではなく無だ。

1章のときからずっと思ってたけど、とらいのキャラクターはおっさんの考えた高校生像なんだよな。
おっさんの考える青春に悩み苦しむ理想の高校生像にあてはめられた八神太一、17歳。
悩める高校生という枠組、みんなのお母さんという枠組、パソコンオタクという枠組。
そういう役割とか枠組とかテンプレにあてはめられて記号的になっているキャラクター。
私が観たかったのは「高校生になった八神太一」であって「八神太一という名の高校生」ではない。
自分が高校生だった頃の経験を反映させましたって、それは脚本家のアナタであって選ばれし子供たちではない。
役割を演ずるためだけの彼らがそこにいる意味はあったのだろうか。
ガブモンにヤマトは太一の代わりになれるなどと残酷なことを言わせたのは、ヤマトを太一の代わりの「主人公」という枠組にはめたいと考える監督の思いの表れなんでしょう。全員が主人公やぞ
ヤマトくんが宇宙飛行士になることを決意したところが一番の見所らしいですからね。そんなシーンあったっけ
あれを決意と呼ぶのか。ファンの妄想だと思っていたのに一番の見所なんですねえ
アグモンが食べ物のことしか考えていないことに関しては、パンフのキャストコメントで坂本さんが言及されてましたね。こんなに食べ物のことばっかじゃないって。
女性陣は基本的にめちゃくちゃ性格悪そうな描写されてることが多いし、そもそも女性像がゆがんではいないか。
個人的には、一番キャラクター造形がしっかりしてたのは謎の男イグ田広明だと思います。
絶対悪、嫌われるために出てきたようなキャラ。
視聴者に嫌われるような行動をしてきちんと嫌われている。
4章でマジで気持ち悪いって周囲が騒然としていたのにはテンションがあがりましたね。
嫌われキャラが嫌われるのは嫌われキャラ冥利に尽きる。
たとえ彼が全ての悪を背負わされるために登場し、何も解決しないまま退場したとしても。
これは私の注意力が散漫で5章までで全く気づかなかったんだが、イグ田広明のアバターの使い分け、現実世界ではカイザー、デジタルワールドではゲンナイなんかな。
過去作を見返す気もないから確かめられない。
そしてカイザーはどちらかといえばデジタルワールド側だな。
逆に好かれるため感情移入されるために作られたのにヘイトを集めてしまったおめこちゃん。
みんながおめこちゃんのために行動するには説得力がなかったねえ。
彼女のキャラクターがもう少し魅力的だったら違う未来があったかもしれない。
はなえくんの太一にはとうとうなじめなかったんだが、はなえくんが6章先行の舞台挨拶で、第1章の時は太一がこういう風に成長したことをどう表現したらいいか悩んだ的なコメントをしていたんですね、超うろ覚えなんですけど。
自分の思考の詳しい流れは忘れてしまったが、それをきいて私は、とらいの太一さんはあのはなのじんたんなんだと腑に落ちたんですよ。
基本的に私はある時点からの時間の流れについて、起こり得ないことはないと思っている。
だから02最終回の戦いのあと日常に戻ってから太一さんが事故にあって二度とサッカーができなくなるとか、ヤマトくんがインディーズで出したCDが売れてCDTVに出演したりだとか、語られなかった部分でそういうことがあってもおかしくないという考えがある。
1%の世界線を超えた先で、02から分岐したとらいの太一さんにも我々には預かりしれない人生があったのだなと。
太一さんのこと生きてるってみんな全然信じてくれないのはそういう次第にじんたん化していく太一さんを見てたからなんですかね。スタッフはそこまで考えてないと思うけど
おめこちゃんがなんでデジタルワールドに行けたのかに対してなんででしょうねわかりませんとか発言する監督なんで、02組がいなくなるという設定だけがあって、どうして彼らが何も知らないのかとかは「考えてない」んでしょうね。
02メンがタケヒカや太一さんたちに黙って戦いにいくのはあまりに不自然だし、行方不明にしても同じ学校だし同じマンションだし、もし本当に何も知らなかったんならあまりに薄情だ。
ていうかとらいのキャラたちはあれだけ仲間仲間連呼しといて信頼感とかないよなあ。
少なくとも八神ヒカリさんにはお兄ちゃんは生きてるって信じてほしかったよ。
とらいの八神ヒカリさんお兄ちゃんのことそんな好きじゃなさそうだから闇落ちすること自体が驚きでしたが。
5章ラストで闇落ちするほど絶望していたのに6章冒頭の「大丈夫」のあっさりさ。
「大丈夫」は大丈夫じゃないってよく言いますけどとらいは感情をすべて台詞で表現するのでこの「大丈夫」は大丈夫です
「俺を憎めばいい」「お兄ちゃんのこと許さないと思う」この台詞自体は結構すごいと思ったんですよ。
「とらいの八神ヒカリ」からしか出ない台詞。
無印02の八神ヒカリさんがこういうこと言うかは別として、この台詞を書いて出してきたということはすごいと思ったんです。
今までの流れから、この台詞が来るとは想像していなかった。たぶんとらいで一番純粋に驚いた。
でもこういう台詞って、大事な言葉は言っちゃだめなの系の脚本だと生きてくるかもしれないけど、思ったこと全部言うとらいでは台詞以外の意味がないからただの雰囲気台詞だし、無印02でのデジモンの生と死についての葛藤はなんだったんだってかんじなんですけどね。
リズで「みぞれのオーボエが好き」のあとの沈黙からの「ありがとう」という希美の台詞は「希美のフルートが好き」と言ってほしかったのに言ってくれないみぞれへのあきらめであり「No thank you」の意味があると監督がおっしゃっていたのですが、そのぐらい言外の意味がこめられた台詞であればと思わずにはいられない。
二次創作だったら事に及ぶ直前の愛のささやきの台詞だぞ。
どうでもいいが熱が出た八神ヒカリさんをタケルに看病させるのはまずいのでは。
女子中学生だぞ、せめて空さんでは。次点で医者志望の丈先輩。
気がついたヒカリちゃんを落ち着かせようとするタケルに「僕見てないよ」とミテマスヨーするパタモン氏。
全体的に6章通してギャグにしようとしてるシーンが全部スベってるというのはもう仕方ない。テンポは悪いしうすらさむいしひでえ
しかしこのシーン、このパタモンの台詞が出てくるってことは、タケヒカのつもりで描いてるってことなんですよねスタッフは。
こんなシリアスど真ん中のときに女を襲うような男だと高石は思われているんですね。
とらいのタケヒカ、露骨な「サービスシーン」として描かれているくらいだからな。
私は我が家のタケヒカを育んでいこう。
とらい、男と女の関係性、というか人間と人間の関係性を描くの、へたくそすぎない?
ラストで太一さんがおめこちゃんに電話をかけるシーンとか、いじめかと。
電話かけるのをにやにやしながらみんなで「見守る」なかよしサークル感。
しかも絶対くると思った「俺たちは仲間だ」が案の定きて打ちのめされてしまう。
俺たちは仲間だと言いながら、少し前まで一緒に戦っていた相手に電話をするのに照れたりためらったり遠慮がある。
ここでも仲間という言葉が上滑りしている。
それをにやにやしながら助け船も出さずに眺めてクスクス笑っている。
こいつらスクールカースト上位層だもんなと思ってしまった。
こんなに居心地の悪いシーンを「仲間」の表現として描けるなんて。
理想の高校生像と実際の高校時代の経験をないまぜにしてみたよで出来た作品のラストがこれなのか。
監督はああいうリア充になりたかったのか。
そういえばパンフには監督のコメントがひとつもなかったけれど、もう発言するなってことですかね。失言多かったしな
以前パンフにあすなろ白書にあこがれてたからやらせましたって書いてあったのには普通にどんびきでした。
ちなみにパンフの密度の薄さはかなり金銭的余裕のなさを感じます。

とらいは、昔からのファン、新規のファン、どこに向けているのかいまいちよくわからなかったが、しいて言うならやはり声優ファンだったんだろう。
推しが自ジャンルの新作映画に出たというのに、こんなに心躍らないなんて、自分でもびっくりだよ。
三森すずこちゃん、本当に歌がうまかったですね。大好きだよ。
すーちゃんのファンたちは離脱したのか、そもそも最初からあまりいなかったのか。
6章の先行では細谷の女たちがめちゃくちゃ多かった気がする。通ってくれてありがとうな。
細谷のこと、実は全然存じ上げないのですが、めっちゃ売れっ子なんですね。
隣にいた細谷の女さん、開幕からずっと号泣してて嗚咽が止まらないし、ヤマトくんのいいシーンでほそやん・・・!って叫んでてびっくりしたよ。上映中はお静かに。
家人に、無印02を全く知らない立場からとらいをみてどうだった?我々は原作をこじらせすぎなんだろうか?ってきいたら「いや、新規が観てもくそつまんなかったよ」って返ってきた。
我々は命を削って作劇に向き合ってきたというのに、プロはこれをそのまま出してしまうのかという絶望。
作劇に携わる者なら観客に伝わらないような細部へのこだわりをもってくれよと思うのは傲慢だろうか。

新プロジェクト、僕らのウォーゲーム 7.1chサラウンド4DX上映とかだったらいいですね!

8/26 GOOD COMIC CITY 25
DIGIコレ7に申し込みました。
満を持してのタケヒカのタケル君たからもの箱を、
出す予定です…!
でじこれがいつまであるかわからないので
やりたいことはやっておきたい!

つい5分前までベッドに腰かけて談笑していたはずが、なだれ込んだら一瞬だった。
ちょっといつもより深めのキスをして、彼女の髪が僕の手に絡んできた、ただそれだけ。
BGM代わりにかけていたクラシックのCDがリストの「ためいき」を流し始めたころには、彼女は僕とベッドの間に転がっていた。

「ミミさん、あの、」
自分は理性で生きているのだと思っていた。
いたずらに彼女を傷つけたりなんかしないと。
けれどほんのわずかな隙間に入り込んだ衝動は、そのまま僕の内側を燃やしてしまった。
いつもきれいにまとめている髪を乱して横たわる彼女の姿はあまりに蠱惑的だ。
「光子朗君…」
チェリーレッドのくちびるから僕の名前が紡がれる。
それは僕のからだを熱暴走させるのに十分だ。
しかし同時にこの衝動をどう処理すればいいのかがわからない。
いや、知識として理解してはいる。
アレを、ソレに、こう。
…………。
太一さんがいざというときのために、なんてふざけて置いていった小さな箱もある。
わかってはいるんだけれども。
ただ、具体的にどう動けばいいかがまったくわからない。
それ以前に彼女がそれを望んでいるのかもわからない。
瞳をうるませて頬を紅潮させながら僕を見つめる、その彼女の表情からはイエスなのかノーなのかが読み取れない。
な、情けない。
こんなところで硬直している自分に腹が立ってくる。
道筋が見えなければ一歩も進めないなんて。
「ミミさん、すみませんでした」
あくまで冷静に、焦りをみせないように態勢を立て直そうと起き上がった。
と同時に低反発の枕が僕の右頬に見事にヒットする。
「なんで謝っちゃうのよ」
彼女はノースリーブのワンピースからのびた細い肩を震わせていた。
「あのまま知らん顔で進められてもいやだけど、謝られるなんてもっといや!あたし、したくないなんて言ってないでしょ!」
ミミさんはベッドに座って、僕の枕をめちゃめちゃにしている。
「わからなかったんです。ミミさんが、どうしたいのか」
「わからないならなおさら勝手に決めつけないで」
至極もっともだ。全く僕はなんでこう他人の心の機微に対して疎いんだろう。
「そりゃちょっとびっくりしたわよ。でも、好きな男の子と、そうなりたくないわけ、ない」
枕をぎゅうっと抱きしめて顔をうずめるミミさんのことを、愛おしいと思う。
傷つけたくないだとか、ちゃんとできるかなんて、ただの自己保身だ。
だいじなのは僕ら二人の、きもちだったのに。
「ミミさん、すみませんでした」
そっぽを向いた彼女を背中から抱きしめる。
「ねえ光子朗君」
首筋からは甘い匂いがした。
「わからないなら、ちゃんときいて」
彼女は僕に向き直り、じっとみつめてくる。
鼻から息を吸って、大きく飲み込んだ。
「ミミさん、しても、いいですか」
いつもより低い声が出た。全身が熱い。
「うん」
可憐な声とともに、さくらんぼのくちびるが小さいキスをくれた。
「うまく、できないかもしれないけど」
「あたりまえでしょ。あたしたちふたりとも、はじめてなんだから」

ベッドは揺れ、彼女の華やかな髪が散らばる。
シルクのような心地よい肌が触れるたびに、びくんと正直に波を打つ。
想像をはるかに超えた刺激。脳を刺すような快感。
たまらなくてくちびるを押し付ける。額に、まぶたに、頬に、くちびるに。
甘い吐息を交換し合って、ほてるからだをぎゅっと抱きしめた。
ラベンダー色のワンピースの上からでも感じられる、ふくよかな果実。
舌をからませながら、右手でふくらみに手を添えてみる。
一瞬僕の肩を掴む手に力が入ったが、こくりと小さく頷いた。
心臓の音、布のこすれる音、肌が重なる音。
あなたにふれるために手を伸ばす。
「こうしろうくん、すき…」
「僕も、すきです、ミミさん…」
僕は今、あなたにさわりたくてさわっています。