黄昏の波の隙間で抱きしめて 甘い暑さに焦がされる夏
すぐそこに江ノ島を望む浜辺は、昼間の喧騒とは姿を変え、思いの外うら寂しい。
今日のヒカリちゃんの水着は白地のビキニ、胸元にはこげ茶のリボンと金のチャームがゆれる。
おしりがおっきくて恥ずかしいなんて短めのパレオを腰で縛って、まるでチョコレートケーキみたいだ。
魅惑のショコラは今やパーカーにすっぽりとおさまって、白い足だけが伸びている。
真っ青なパーカーが、夕暮れにまぶしい。
そうやって隠せば隠すほど劣情をかきたてるのに。
その中身を全て暴いてやりたいと思っていること、君は知ってるのかな。
夕暮れの海、岩場の影に二人きり。なんてベタなシチュエーション。
ぱちゃぱちゃと波打ち際で足を濡らす君の、指先を絡めとる。
見つめあえば目をそらせない。
ほんの少しだけ触れたくちびるから情熱が溶けて行く。
止まらない。止められない。
からだじゅうを血がかけめぐる。
打ち寄せる波に合わせて何度も口づける。
撫でるように、噛みつくように。
仔猫のような君の頭に指を入れて、髪の毛まで一本残らず感じたい。
素肌で君と抱き合いたいって思うのは、夏だから。
「パーカー、いる?」
「いらないって言わせたいんでしょ」
夕焼け色に輝いた瞳が揺れる。
パーカーのジッパーを半分おろす、世界で一番キュートな誘惑。
大胆でかわいい僕のバンビーナ。
抱きしめるとやわらかな肌のぬくもりにめまいがした。
見た目よりも質量のあるバストに、リビドーが目を覚ます。
首筋に、鎖骨に、肩に、その膨らみの裾野にくちびるをすべらせて、君はくすぐったそうに顔をほてらせた。
目だけで問いかける。
もう半分のジッパーもおろしていい?
お好きにどうぞという瞳で、僕のみぞおちにキスを降らせる天使。
「帰りたくない、って言ったらタケルくんは困る?」
「帰らせてもらえるなんて、本気で思ってるの?」
太陽は海を纏い、あたりは既に群青の空が広がる。
甘く刺激的な夢に溺れてしまえ。
今夜は潮騒のジルバを踊ろう。
海辺で嵐のような恋をしよう。
#タケヒカ版深夜の真剣お絵かき文字書き60分一本勝負
2015/8/14「海」