オレンジの光射し込む部屋の隅 君が吸い付く僕の欲望

君のからだが夕陽につつまれてオレンジ色に溶けていくのをみるのが好きなんだよ。

どうしていつもカーテンをあけるの?という彼女の問いに答えるタイミングを逃してしまったのは、彼女の唇がそのまま僕の耳を覆ってしまったからだ。
耳たぶを甘噛みされて情けない声がでてしまった。
ふふふと少女のように笑う、とてもかわいい僕の恋人。
窓際に置いたソファで僕たちはいつものように肌を寄せ合う。
夕陽が射し込んできているから電気はつけていない。
君が僕のからだの至るところにキスするのを、僕はじっと見ている。
とても愛しい僕の恋人。

「タケルくん」
君が呼ぶ名前は湿った空気を通して僕の喉元まで届く。
「愛してる」
主語がない彼女の言葉は吐息となって消えた。

「タケルくんの髪は、夕陽にあたるときらきらして、とってもきれい」
「そうかな?」
「大好きよ」

やわらかな手で髪に触れ、そのままゆっくりと下げてゆく。
右手は首筋に、左手は僕の胸から腹にかけてをゆっくりと、触れるか触れないかの絶妙な指使いでなぞり、太股の付け根で止まるものだから、さっきまで僕の欲望そのものを弄んでいた桜色の唇を乱暴にむしりとった。
汗ばんだからだをのけぞらせて、君は何度も愛してると嘘をついた。
今夜も君は僕のからだを思い出しながらひとり自分を慰めるのだろう。
君が愛してるお兄ちゃんのことを想いながら。

君のからだが夕陽につつまれてオレンジ色に溶けていくのをみるのが好きなんだよ。
君が本当に好きな人と愛し合ってるみたいにみえるから。

Posted by 小金井サクラ