欲望が肌で恋する熱帯夜 君に溺れる灼熱の海

今日の最高気温は35度。人の平均体温は36度。
「私の平熱35度だよ」
「それなら、くっついてても変わらないや」
隙間なく、触れていない場所がないように、ぴったりと。
熱を持った肌はじんわりと汗ばんで、生ぬるい空気に溶けていく。
「タケルくんは、熱いね」
「嫌なら離れようか?」
首筋にくちびるをおしつけながら、吐息だけで答える。
「もっと、熱くして」
仔猫のように体を丸め、足をぎゅっと絡ませてくる、ワガママな僕のお姫様。
「ヒカリちゃんの仰せのままに」
舐めるようにくちびるを吸い、粘膜と粘膜がひとつになっていく。
手で、足で、指で、頬で、髪で、目で、僕たちはお互いの存在を求め合う。
埋めて、僕を、隙間なく。
まるで海のなかにいるみたいだ。
このまま、抱き合ったまま溺れてしまおうか。
クーラーのないこの部屋では、流れているのがどちらの汗なのかもわからない。
僕達のからだはもうべたべたに混ざりあってしまった。
「ねえ、キスして」
耳にかかる君の熱い吐息が、僕の理性をどろどろに溶かしていく。
汗と精液とじめった布団のにおいがこもる部屋で、僕らは今夜も溺れたくてたまらない。

#タケヒカ版深夜の真剣お絵かき文字書き60分一本勝負
2015/7/17 「夏」

Posted by 小金井サクラ